ネタバレあります。
まずこれは「999」というタイトルでありながら
「999」単独の話ではありません。
ハーロックが出ます。
エメラルダスが出ます。
グレートヤマトが出ます。
マゾーンもイルミダスも、その他のキャラも出ます。
これこそ松本作品の集大成というべき話になっています。
かねてから「各作品はリンクする」との言質がありましたが、
これは単純に作品世界を共有するの意だけではなく、スターシステムでもあると明言されています。
「ジャイアントロボ THE ANIMATION」的側面があると考えられます。
お話は劇場版「銀河鉄道999エターナルファンタジー」の続きから始まります。
ただしこの作品が編まれるにあたって改変があります。
実際の劇場版「エターナルファンタジー」は原作コミックスの続編をアニメ化したもので、
旧作「銀河鉄道999」「さよなら銀河鉄道999」に直結するものではありませんでした。
この小説はそれら劇場版作品の続きと解釈できる内容です。
(鉄郎はトチローと会っているのです。しかも黒騎士ファウストと戦ったとも)
だからおそらく鉄郎も18〜19歳くらいでしょう。
「エターナルファンタジー」に登場したのは宇宙戦艦ヤマトでしたが、
ここではグレートヤマトに改められています。
しかも「新宇宙戦艦ヤマト」の内容も改変されています。
乗組員が1000年前の先祖の子孫なのは変わっていませんが、
「古代進32世」みたいな名前はなくなりました。
1000年後の子孫として古代将(こだいしょう……もしかしたら
これで「こだいすすむ」と読むのかもしれません)が登場します。
「さらば」以降のずべての続編がなかったことになっていたのですが、
「完結編」までは確実に史実になっています。
「完結編」での銀河系の衝突でガルマンガミラスとボラー連邦は完全消滅した、
かのように描かれていましたが、生き残ったデスラーがネオガミラスを建国しています。
(ガミラス人はラーメタル人のような長命種として描かれています。
なので1000年後にもまったく同じキャラクターとして登場します)
ボラー連邦も滅びていませんし、「わが青春のアルカディア」で登場したイルミダスも
銀河系内の国家として登場します。
そして白色彗星帝国はイルミダスから飛び出した連中の作った国家であったことが明言されました。
イルミダスの最強兵器があの彗星帝国の都市要塞だったわけです。
なのでイルミダスはあのデカイのを何基か所有しているはずです。
(ちなみにガミラスとイルミダスの関係は良好ではないかもしれません。
もしかしたらガミラスがイルミダスを「蛮族」扱いしているかもしれません。
歴史的にはイルミダスのほうがガミラスより古いらしいのですが)
なぜ「999」の時代に地球に艦隊らしきものが登場しないのかというと、
どうやら太陽系国家ができたときに「無気力な地球を見棄てる」政策をとったらしいのです。
しゅんらんもユーノスもアリゾナ型も外宇宙で活躍していますが、
地球は見棄てられて、残った連中が太陽系であんなことやってたのが
「999」で描かれた地球のようです。
そしてかつてハーロックと戦ったマゾーンもイルミダスも国家として、
緊張があったりあるいは融和があったりという中で存続しています。
そんな彼らすべてが超党派で当たらなければ倒せない敵、それがメタノイドとダークィーンです。
結局「あの話はなかったことにする」というのが15年前の姿勢だったのですが、
蓋を開けてみたら「今までの作品は全部アリ!」になっていて……すごいよ、よくまとめたもんだと。
(多少改変されていますが、ある意味ターンAガンダム)
ということなんですが……まだ完結していません。
上巻が最終戦闘に入りかけたところで終わりで、その続きはどうなるでしょうか?
「ニーベルングの指輪」も読んでおけとは思いますが、そこまでは問わないことにします。
GALAXY EXPRESS 999 ULTIMATE JOURNEY 上巻
- 作者: 和智正喜,松本零士
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