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「松本清張スペシャル指」感想 PART2

約束どおり、さきほど2回目の「指」視聴を行いました。
初見の段階では混沌としていた印象も、かなり整理されたと思います。
 
注:ここに書いたことは個人的な解釈であり、
制作者側の意図とは多分に相違があるであろうことを
予めお断りしておきます。
また、「指」本編に関するネタバレがありますので、
未だ本編をごらんになっていない方はご注意ください。

「女優」後藤真希と「指」という作品の位置づけ

後藤真希は20歳。しかるにその精神年齢は12〜13歳であり、デビュー当時とあまり変わっていないという。
これはもちろん本人の言であり、「子供っぽい」「子供でいたい」という自分の内面を十分に自覚はしている。
そのためか「大人っぽくなった」などと言われると、素で喜ぶという面を持つ。
 
後藤真希が出演した作品は順不同で「ピンチランナー」「マリア」「やんパパ」「ナマタマゴ」「伊豆の踊り子
仔犬ダンの物語」「青春ばかちん料理塾」「R.P.G.」「Promise Land〜クローバーズの大冒険〜」「義経」がある。
「指」は大河ドラマ義経」での能子(よしこ)役が好評を得たため、
ステップアップをねらって出演を承諾したものと想像される。
しかし結果としてはステップアップというよりは、
今までの後藤真希を確認、あるいは総括するための作品となったという印象が強い。

「福江弓子」

設定年齢は20代半ば。
小劇団に所属し、女優を夢見る上昇志向の強い少女(だった)。
あるとき同じ劇団の看板女優・北岡美穂のすすめでレズバーに勤務、そこでパトロンとなる生方恒子と出会う。
その後、とあるアクシデントによって劇団公演の主役となり、それが映画監督である三枝公明の目に留まる。
彼の映画に出演した後は、一躍大女優への座を射とめることとなった。
……こんな感じだろうか?
この役を肉体年齢20歳、精神年齢13歳の後藤真希が演じるわけである。
正直に言うが、かなり無理があるとは思わないか?
実際私の知っている後藤真希という女の子は、精神年齢のほうがかなり表面に出ている人だ。
そういったパーソナリティー、メンタリティーを前面に押し出したら、福江弓子は演じられない。
ではどうするのか?
仮面をかぶるのだ。
何のために?
隠すために。
後藤真希でありながら後藤真希を隠すために。
だから劇中の「大女優・福江弓子」は、私には「人形」に思えて仕方がなかった。
個性を消し、本音を語らず、どこまでが演技でどこまでが素なのかわからないといった風。
しかしこれは演技法としてはずいぶんとうまいやり方だろう。
仕方ないのだ、何しろ相手は精神年齢13歳。
それでどうやって「大女優になれ」と?
作品を見ての「食い足りなさ」とは、このあたりに起因していそうだ。
 
その弓子だが、ラスト10分でその仮面は脆すぎるくらいに剥がれ落ちてしまう。
そしてそこに現れたのは、あまりにも無防備で邪気のない少女の顔。
そうだ、これは私の知っている後藤真希の顔だ。
「R.P.G.」で見せた、罪が罪であることをわからぬ少女のあどけない表情だ。
 
放送前、劇中でのレズシーンばかりが頻繁に話題になり、「後藤真希、新境地に挑戦」と言われたが、
あの顔を見て「ああ〜、いつものごっちんだ」と、ある意味「期待」を裏切った「結末」に
複雑な気持ちになった。
 
そうだね、次はもうちょっとオトナの女性の役に挑戦しようね。

「鈴木香織」

弓子の過去を執拗に追う芸能レポーター
自分が失脚する原因となった弓子への執念が行動の動機のようだが、私にはそうは思えない。
なぜ彼女が弓子にこだわるのか。
それは弓子が3年前の彼女との出会いを覚えていなかったから。
そんな、ストーカーじゃあるまいし!と言うなかれ。
おそらく香織にとって、弓子が見せた否定の行動は、自分の信じていた真実を裏切るものだったのだろう。
そう、あれは復讐なのだ。
 
それにしても、このドラマに出てくるマスコミ人は、なぜか弓子に憎悪の視線を向ける。
「疑惑」ではなく「憎悪」なのだ!
他人の知られたくないプライバシーを探り出そうとして断られたから、その腹いせに!としか思えない粘着っぷり。
ちょうど「探偵物語」の最終回で、名もない男が「些細なこと」を恨んで工藤ちゃんを刺し殺した(?)*1のと同じこと。
……違うか。

弓子はなぜ美穂を殺したのか?

弓子は恒子と、そして美穂とレズ関係にあった。
しかしその三角関係は、弓子のパトロンである恒子の知るところとなり、
弓子と美穂の「密会」の現場に現れて美穂の顔に傷を負わせる。
弓子に自分との「復縁」を求める恒子。
だが弓子は結局は傷を負った美穂を選び、傷心の恒子は自殺を図る。
本気だったのか、狂言だったのか、それは不明だが、結果として恒子は死ぬ。
そして美穂も傷のために女優生命を絶たれるのだが……。
美穂は告白する。あのとき恒子はまだ死んでいなかったことを。
救急車を呼べば、あるいは助かったかもしれないことを。
それを聞いた弓子は、美穂との情事におぼれると見せかけて、彼女を殺害するために現れる。
なぜだろう?
恒子を見殺しにした共犯だと美穂に言われたからか?
そうではないと思う。
恒子が自殺を図ったとき、弓子はうろたえ、恒子のもとへ行く意思を示した。
果たしてあれは単なる金づると思っていた相手への態度だろうか?
後藤真希の演技は、「感情移入した相手への思いやり」を表現したものである。
これが男の場合なら、話はかなり単純だ。好きなら好きという感情が、かなりストレートに出てくる。
でも女で、レズだから……。
正直、よくわからない。
弓子は恒子に本気だったのかもしれない。ただ単に利用していただけかもしれない。
栄光をつかむため、本当に誰とでも寝て、殺人まで犯していただけかもしれない。
が、演じているのが後藤真希だから……。
どうしても「人の良さ」「無邪気さ」がにじみ出てしまっている。
利用し利用されの関係だった恒子に、いつの間にか情が移り、
泣きつきたくなった美穂を、いつの間にか利用するだけの存在としか思えなくなってしまった。
こんなシナリオが、私の頭の中にわいてくるのだ。
 
でも本当の動機は……「何も考えてなかった」が正解じゃないかと。
だって……ごっちんだもん。

ラストシーン

そんなこんなで「人形」の仮面をかぶった弓子だが、ラスト10分において、その仮面は崩れ去る。
香織が弓子の「告白」の一部始終をビデオで隠し撮りしていたからなのだが……。
正直、これも「演技でした」でごまかせる範疇ではないのだろうか?
なのに、ここに至って、弓子は後藤真希の素顔をはっきりとさらけ出す。
それまででも断片的に、弓子の邪気のなさが彼女自身を完全なる悪女のイメージからは解き放っており、
演じているのが後藤真希だから、という点を差し引いても、弓子に悪い印象はない。
殺人まで犯しているにもかかわらず!
むしろ、そんな彼女を陥れた香織こそがいちばんの悪女のように映ってしまう。
というより、かなり印象が悪い!
品性下劣のお先棒を担いでおいて、自らは正義の味方であるかのような顔をしているのが癇に障る。
この女、絶対いい死に方はしない!
はっきり言えよ、「私は弓子に嫉妬したから、陥れてやったんだ」って。
 
警視庁前のシーンも要らない。
「福江弓子が自首します」の電話のシーンでラストにするか、
もしくは最後に女優としての絶頂を印象付ける場面を加えるだけでよかったんじゃないだろうか。
いや、私が監督だったらそうする!
 
だけど、そうは言っても、このドラマは細かく見れば見どころはいろいろとあるし、
決して見て損はしないと思う。
でもまあ……カタルシスの高さでは「R.P.G.」に一歩譲っちゃうかもしれないけど。

*1:あしたのジョー」のラストと同じで、実は生死不明。