「スケバン刑事」とは80年代の作品である
……というイメージを抱いている人は多いだろう。
だが、実はそうではない。
「スケバン刑事」がよみきりで
少女マンガ雑誌「花とゆめ」に登場したのは1975年。
そして第一部完のあとに再開し、壮絶なる死闘の末に完結したのが1982年。
そう、実は「スケバン刑事」は70年代の作品なのである。
と、ここでいきなり脱線するのだが、
原作者の和田慎二は1991年から1995年にかけて
「怪盗アマリリス」という作品を連載している。
この中に「ナナのシネマパラダイス」というエピソードがあるのだが、
怪盗アマリリスである椎崎奈々は、なぜか途中でアイドル歌手としてデビューすることになってしまう。
そうなると映画のオファーなども来るわけで、このエピソードはその顛末を描いたものとなっている。
が、同時にこれは映画界へ向けてのメッセージでもあるし、しかも……どう考えても以前ドラマ化された
「スケバン刑事」への作者の偽らざる本音も含まれているのではないかと思ったりもするのだ。
まずはナナが所属する芸能プロ社長のお言葉。
そして作者・和田慎二の分身である岩田慎二氏のお言葉。
(c)和田慎二(どちらも花とゆめコミックス「怪盗アマリリス」第6巻から)
と、これを見てみると……うーん、和田先生がドラマ「スケバン刑事」にどんな思いを持っていたかの一端が
窺い知れるというもの。
もっとも直接的な感想といえば「スケバン刑事」の原作コミック
(メディアファクトリー版か白泉社文庫版)に収録されているあとがきに書いてあるので、
そちらを参照したほうがいいかもしれない。
とにかくアイドル映画はつまらないし、日本映画はどうしようもない、というのが、
これを描いた当時の和田先生の意識であったようである。
ちなみに和田先生はアニメに関しては偏見はない。いや、ヲタク的な偏見はあるかもしれない。
その辺りについては今は亡き「アニメック」に寄稿したこともあったのだが、
まあこれは今となってはほとんど見ることも叶わないだろう。
(ついでにこれに対して月刊OUT誌上でアニメジュン氏がチクリとやっていたが……
それこそ話が脱線してしまうので、この辺で)
さて、今回の映画「スケバン刑事」である。
和田先生のスタンスは「かわいい子がやるならいいよ」ということなので、まっつーが出ることに関して
表向きどんな発言をしていようとも、とりあえず容認ではないかと思う。
(個人的には唯やんがお気に入りらしいが)
で、「スケバン刑事」はどのような映画なのだろう?
東映の上層部は「アイドル映画」と考えているらしい。
が、深作健太監督は、どうも「バイオレンスアクション映画」にしたい気持ちが強かったような
ニュアンスが伝わってくるのだ。
かわいい女の子目当てで観客は来るだろうというのが上層部の考え方のようだが、
現場ではアクションこそがキーであると考えているフシがある。
松浦亜弥は語る。
「この映画を観る時に今ステージにいるあややだと思って観るのは勘弁して欲しい。
松浦でなくて、麻宮サキを観に行くつもりできてほしいですね」
さて、この映画、本当にアイドル映画になっているのか、それともバイオレンスアクション映画なのか?
その答えは、もうすぐそこにまで迫っている。
え、和田先生はどう思っているのかって?
やっぱり原作の持っているエッセンスが表現された映画のほうが嬉しいでしょうね。
だとするならアイドル映画とバイオレンスアクション映画と、どちらを望むのか?
ふふふ。
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