産経新聞の産経抄では、連日牛肉の偽装問題についての話題が採り上げられている。
“ミンチ社長”が「半額セールにだまされた方が悪い」などと、開き直ったのにはあきれた。
とまで言っているが、しかし、これが開き直りだと言い切れるだろうか?
昔はいいものはある程度高いのだという認識が一般にあって、
安物には「何か訳ありだから安いのだろう」という暗黙の了解があった。
たとえばアパートの部屋が安いのは自殺した人がいたからではないのか?というような。
今回の牛肉偽装も、昔だったら「こんなに安いはずがない、混ぜ物でもしてあるんじゃないのか?」と疑うのが
普通だったはずである。
それが値段さえ安ければ品質は二の次、韓国製や中国製を平気で買うような国民性になってしまっている。
いや、韓国製や中国製だっていいものはある。
が、大抵はまだまだ粗悪品のほうが多いのだ。メーカーで輸入品を扱ってみればすぐにわかる。
コストダウンのために部品を中国調達品に変えたところが、不具合が発生、対策のために却って高くつき、
結局国内製品に戻したという例もあるのだから。
安くていいものを供給できれば、それに越したことはない。
しかしいいものを供給するためには、どうしてもある程度のコストが必要になるというシステムを
理解する必要がある。
規制緩和とは無駄なプロセスを省いて消費者によいものを供給するためのものだったはずで、
粗悪品の流入で国内の良品を駆逐するために行おうということではない。
ましてや必要な管理工程をなくして品質を落とそうというのでは本末転倒だ。
そうやって低コストのみが判断基準となり、一定の品質レベルに達していないものを
日々量産する国と成り果てているのが現代日本ではないかという気がする。
こんなものは100円で買える、と、逆にモノへの執着心やこだわりを消してしまい、
消費されたゴミだけを増やすような流れをも作ってはいないだろうか?
だから私は「だまされたほうが悪い」という言葉が単なる開き直りだと言い切ることができないのである。
もっとも「お前が言うな!」とも思うけれどね(笑)。