京を手中にしたかに見えた尊氏に対して
最後の強敵・北畠顕家が奥州から攻め上ってきた。
このまま北陸に位置する新田義貞と合流して
叡山を経由し京へ向かうかと思われたが、
彼が向かったのは父・北畠親房のいる伊勢であった。
顕家はつぶやく。
「この頃、十に一つ、矢が思うように当たりませぬ……」。
神仏の加護ありて、天才的な弓矢の腕を尊氏に見せ付けた、
かつての顕家。
だが彼をして、そう弱音を吐かせるほどに、転戦に次ぐ転戦は、彼の身も心も疲れ果てさせていたのである。
大敗を喫した足利軍は、再度攻撃を開始、顕家の主力ではなく本隊を突くことに成功する。
わずかの兵しかいない本隊の中、己れの弓の弦が斬られるのを目の当たりにした顕家。
そのとき、顕家の胸に突き刺さる足利軍の矢。
二十騎あまりの兵とともに和泉へと落ちていく顕家。最期のときを悟り、彼は自らの喉笛に刃を突き立てた。
北畠顕家、享年21歳。あまりにも短い生涯であった。
これは独り言ですが、最期を描いてもらえるのはありがたいことですよ。
千種忠顕(本木雅弘)なんか、台詞の上だけで抹殺されましたから。
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