「ヤング ブラック･ジャック」

「そう都合よくドナーが見つかるわけないだろ！」とか「手術が成功するとかご都合主義もいい加減にしろ！」とか、
そういう感想しか持てない人はドラマという種類の映像を見るのはやめなさい。
　
最愛の母の体を切り刻み、解体していく若き日のブラック･ジャック。
彼はそこに何を思い、何を見たのだろう？
それが医者の宿命なのかもしれないが、結局自分の母親の命を救えなかった無念は一生消えることはあるまい。
だが、それを他人を救う力へと転化できた彼は、強いよ。
もし自分があの立場だったとしたら、切り刻めるか、自分の母親を？
　
原作とは少々異なるテイストだったとは思うが、しかし、ドラマを見ながら、
もしこのシーンを手塚治虫が原稿にしていたとしたらどうなったか。
そんなことを何度も想像した。
想像できた。
だから、このドラマはこれでいいのだ。
　
そして、まさか全体の輪を閉じるのが彼の永遠のライバルと、「最愛の女性」であるとは、
運命なのか、皮肉なのか。
「奇形嚢腫」を持ってくるとは、不謹慎ながらニヤリとしてしまったよ(笑)。