劇伴音楽を愛する者にとっては当たり前のことでも、
そうでない人には当たり前でないことも多い。
なぜUVERworldの「Fight For Liberty」は
「宇宙戦艦ヤマト2199」の主題歌として不適格なのか。
これは説明されないとわからない人がいるだろう。
アニメ作品において、過去にも単なるタイアップとしか思えない、
本編とは何の関係もないであろう曲が主題歌となったことがあった。
だが、それを回避していた例もある。
劇場版「機動戦士ガンダム」の「哀戦士」「風にひとりで」や「めぐりあい」「ビギニング」などは
考えようによっては単なるタイアップでしかない。
しかし現在、これらの曲をそのように見る人間はあまりいない。
なぜか。
それは曲の使い方に特長があるのだ。
第一作の「砂の十字架」はラストに流れたのみで、これこそタイアップのみの最たるものと言ってよいのだが、
「哀戦士」は劇中で流されて大きな効果を生んでいた。
これが「めぐりあい」や「ビギニング」になると、何度も繰り返し使われ、
完全に作品世界の一部を形成していたのである。
特に「ビギニング」はアレンジBGMまで作成され、これも効果を上げていた。
つまり良い主題歌は主題歌であると同時に「主題曲」なのである。
「主題歌の歌詞が作品世界を端的に表現している」。
これだけではすぐれた主題歌とは呼ばれないのだ。
曲が劇中で何度も使用されて、作品世界の形成に一役買っている。
このような状態になって初めて「すぐれた主題歌」と呼ばれるのである。
では肝心の「Fight For Liberty」はどうなのか。
歌詞は……正直よくわからない。
私もよく聴いていないので(笑)。
曲は……ダメでしょうね。
だって、この曲がBGMとして本編で使われる可能性があるでしょうか?
この曲からアレンジBGMが作られる可能性があるでしょうか?
仮にBGMが作られて使われたとしても……宮川泰・宮川彬良の作品世界の中では浮くでしょうね。
このような事態を回避する方法が、実はひとつあったのです。
それは……UVERworldが宮川BGMのどれかをモチーフにして主題歌を作ること。
新曲をBGMとして取り入れてもらうのではなく、
従来の曲をアレンジして新曲を作っていれば、誰も文句を言えなかったはず。
だから、やり方が逆だったんですよ。
歌詞なんか飾りです。偉い人にはそれがわからんのです(笑)。
曲調がどれだけ本編BGMに沿ったものになっているかどうか。
大事なのはそこだったんですよ。
それを蔑ろにしているのが、UVERworldの今の曲です。
歌詞をどういじったところで、曲が「宇宙戦艦ヤマト」の世界に合致していなければ、まったくの無意味なんです。
要は宮川BGMとの相性であり、作品世界の一部として機能する曲であるかどうか。
「宇宙戦艦ヤマト」は多くのアレンジBGMとなり、すでに作品世界とは切っても切れない強い糸で結ばれているのに、
むりやり引きはがそうとした行為。
それが今回の主題歌交代です。
主題歌は番組の単なるオープニングではないのですよ。
それがわからない人には、炎の中にサムライは見れません(笑)。
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追記
じゃあ劇場公開版のエンディングは「真赤なスカーフ」じゃなくていいのか!
という声が出るかと思いますが……あれは一応「真赤なスカーフ」へのアンサーソングだったり
派生だったりになっているから、などと苦しい言い訳をしてみる(笑)。