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「ヤマト2199」そして「さらば」

 
一般には絶大な人気を誇り、シリーズ最高傑作と称されることの多い「さらば宇宙戦艦ヤマト」。
しかし、私はこの作品が大キライである。
理由はいちいち書いていかない。
が、その最大のものは「スタッフが苦労して考えた痕跡よりも、偉い人のゴリ推しによる安直さが前面に出ている」ことにある。
たとえばデスラーにはその最期に「ヤマトなら、戦う方法はいくらでもある」と言わせておきながら、
ラストに待ち受けるのが特攻では……。
あるいは真田に「立派な艦長になるんだぞ」と言わせておきながら、ヤマトを使っての特攻
……これは果たして艦長としては正しい行動なのだろうか?等々、疑問の残る部分も数多い。
デスラーの言葉は「白色彗星の、渦の中心核を狙え!」を強調するためのものかもしれない。
しかし、我々はアンドロメダが拡散波動砲しか持っていないことを事前に知っていたのだ。
(劇中では語られていないが、その程度の事前情報をもって鑑賞に臨んだ人間は多いと思う)
であるならアンドロメダと地球艦隊が敗北する予定であることはこの時点で観客に伝わっている。
おそらくは中から都市帝国も出てくるだろう。
そんなものを宇宙戦艦ヤマト1艦で叩けるというのだろうか?
 
と書いてしまったが、単純にパート1と比較したときにさらばの物語が前作から大きく舵を取り
……いやいやいや、それどころか反転180度くらいの変節をして、
前作で示された教訓が何一つ生かされないことに愕然としてしまう。
簡単に言うと「テーマ的には全作より後退している」のだ。
しかし西崎Pは「前作の考えを進めて」などと発言しているために
「さらばはパート1よりテーマ的には優れているのだ」と思い込んでいる人間が数多い。
絶対正義の象徴であるテレサと絶対悪の象徴である彗星帝国。
この前提に間違いはないと皆考えているが……そうか?
彗星帝国は我々とは異なる価値観のもと、「自らの正義を行っているだけ」かもしれないし、
テレサにしても宇宙に害をもたらす存在だから幽閉されていたという可能性はないのだろうか?
テレザートで彼女が見せた彗星帝国の所業は、彼女の主観による一種の捏造かもしれない。
前作において「ガミラスとは分かり合えたかもしれない」との可能性を示唆したのであれば、
その後のヤマトの行動は無思慮に戦いを挑むのではなく、和平や和合を念頭に置いたものにならなければ
「我々は戦うべきではなく愛し合うべきだった」という言葉が空虚になってしまう。
そもそもヤマトとは滅亡の危機に瀕した地球を救うために14万8千光年彼方の大マゼランにあるイスカンダル
放射能除去装置を受け取りに行くことを第一義とした物語である。
ガミラスとの交戦や彼らの滅亡は結果として招いてしまったものでヤマトの本意ではない。
ヤマトもできることならガミラスとの交戦はできるだけ避けてイスカンダルへ向かいたいという姿勢が、シリーズ全体に表れていた。
翻ってさらばを見るに、ヤマトの目的が彗星帝国の殲滅にすり替わっている。
根底にあるのは地球を救うことなのだが、そこから彗星帝国を破壊しつくすことへ結論を持って行くのはいささか乱暴
……と考えてしまうのは性善説に拠りすぎた考え方だろうか?
あるいはパート1でガミラスを滅亡させ、それを正当化したことで彼らの中に他者を滅ぼすことへの罪の意識がなくなったのだ。
そんな偏った考えの、一面では宇宙の悪魔と呼んでもいい宇宙戦艦ヤマトが「宇宙の愛」という大義名分のためなら
何をしてもかまわないという傍若無人な戦いを繰り広げる物語が「さらば宇宙戦艦ヤマト」である。
(という見方ができることも忘れないでほしい)
 
さらばを見ていて気になるのは、細かい部分での齟齬や破綻が随所に見られる点である。
これは話を単純化するため、言ってしまえばヤマトの最期(=古代の特攻)を描くことを前提にしているために
それ以外の部分への配慮がおろそかになっているのだ。
物語のラスト、都市帝国を殲滅したヤマトの眼前に信じられないものが出現する。
都市帝国そのものといっていい、巨大な戦艦が帝国の破壊されたビル群を蹴散らして現れるのだ。
すでにヤマトは疲弊し、満身創痍である。エネルギーも残っておらず、残った乗組員は総員18名……。
これならば特攻しか選択肢はあるまい……とは思わない。
地球に降伏勧告をしたバルゼー艦隊はどこに行ったのか?
全滅と表現されたが、本当に地球には何の戦力も残っていないのか?
そもそもここで降伏するという選択肢は残っていないのか?
いやいや、この巨大戦艦だって一発主砲を撃っただけで沈黙しているではないか、ただ大きいだけの張子の虎の可能性はないのか?
……などと言い出すとキリがないのだが、そういう「ツッコミ代(しろ)」を潰しておく、
あるいはそういうことを気にされないように手を打っておかなければ古代の特攻に説得力が生まれないのだ。
ただし物語として、ここで古代に特攻させることには反対である。
あれだけの登場人物を「古代進を生かすため」に殺しておいて、最後に当の本人に特攻させるというのは
……死んでいった人間の気持ちを踏みにじる行為になりはしないだろうか?
個人の感情よりも大義が優先されると言われてしまえばそれまでだが。
にしても、このさらばという作品は前提からして誤っているなあという感想を持たずにはいられない。
この点が理解できない人は試しに2199の価値観と世界観のもとでさらば的な作品を作ったらどうなるか、
シミュレーションしてみるといい。普通にやったらできないはずである!
(当然のことながらさらばを成立させるために2199の一部描写や設定をなかったことにするという、旧作がやっていた悪い習慣は一切不可だ)
しかしながら世の中にはできないはずのことをやってほしいと望む人間が多数いるようである。
早い話がアンドロメダを出して艦隊決戦をやれ、ヤマトを出して古代に特攻させろと。
だが波動砲装備の戦闘艦など出そうものなら、今度は地球がイスカンダル-ガミラス連合軍によって殲滅の対象になりかねない。
地球は約束を反故にする信用できない星だと全宇宙に喧伝するようなものだ。
ヤマトについても然りである。艦全体がコスモリバースのためのシステムとして稼働している以上、
戦闘艦としての役割は終わったと考えるべきだし、仮にコスモリバースシステムを無理やりにはずして
もう一度戦闘艦として就役させるというのは……そこまでして戦闘シーンを描かせたいのか?と、
そんな感情を抱く人間にこちらがドン引きだ。
宇宙戦艦ヤマト2199」の続編が作られる可能性はゼロではない。「星巡る方舟」はそんな含みのある物語でもある。
が、仮に続編が作られたとしても、それは我々の知っている「さらば宇宙戦艦ヤマト」とは似ても似つかない話になるだろう。
いや、同じような話にしてしまったら、それこそ「2199の感動を返せ!」という、どこかで聞いたような怨嗟の声が溢れるのは必至である。
さらば宇宙戦艦ヤマト」は歪み、偏った作品なのだということを主張して、この項は終了する。
かつてのようなダメ作品一直線とならないことを祈って。
 

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