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プロジックでのお話

以下は、本日AVショップ「プロジック」において、アコースティックリヴァイブの石黒社長と、
不肖私が話をしたことのダイジェストであると思っていただきたい。
ちなみにその数時間前、菅野沖彦氏による講演があった。
 
今から二十年以上前に遡る。
その頃音楽を楽しむためのメディアといえばアナログレコードであり、
家電メーカー各社がそれぞれのオーディオブランドを持っていた。
私自身はまだ十代であり、月の小遣いも数千円というレベル(五千円もらえれば御の字!)だった。
当時のレコードの値段は、EPレコードが500〜700円、30センチLPが1800〜2800円という感じだっただろうか。
数千円という上限の中で、これらを買うのである。LPのアルバムを買うのは一大決心であると言ってよかった。
LP一枚で月の小遣いの大半が飛ぶのだ。これを一大決心と呼ばずして何と呼ぶのか。
いや、これは単純に価格の問題だけではなかった。レコードそのものに、なにか別の付加価値を感じたものである。
そう、音盤そのものが宝物のようだった。今から思えば扱いが現在のCDとは全然違っていたように思う。
レンタルレコードなんてものはなかった。
コピーしたければ、仲間うちで「個人が楽しむ範囲」でのみコピーをするしかなかった。
しかも、所詮コピーはコピーである。音質はオリジナルにかなわない。
だからどうしてもよい音質で聴きたければ、無理してでもオリジナルを買うしかない。
だからその頃レコードの売り上げは、そのまま実売枚数であった。
 
オーディオメーカーはといえば、値段の上から下まで、ほとんどがフルサイズコンポであった。
そしてユーザーは、買い替えによるグレードアップをするのが普通だった。
ラジカセから始まって、システムコンポを経由し、バラコンに至る。
なぜグレードアップをするのか?
もちろんレコードをよりよい音(あくまで自分にとって)で聴きたいがためである。
それが当時の常識だった。
 
あるとき、30センチLPは12センチの円盤に取って代わられた。
コンパクトディスク、CDの登場である。
オーディオメーカーは、ここでひとつの誤算をした。
すなわちCDの登場によって、オーディオ機器は小さなサイズのものが主流になるとの読みである。
オーディオ各社はミニコンポに注力した。
そしてラジカセにもCDを搭載させた。よりにもよって、デジタルコピーの能力まで持たせて。
コピーがオリジナルを上回ることは絶対にない。
しかし、一般層にとってはデジタルコピーによる劣化レベルは許容範囲だったようなのである。
 
音質を極めるという大命題は、このときに崩壊が始まった。
利便性とコストパフォーマンスが、それに取って代わっていった。
音質を追求しないとは、すなわちコンポの買い替えを行わないということである。
だったら最初から全部がそろっている省サイズ・多機能なCDラジカセやミニコンポで満足することに
誰が異議を唱えられようか。
結果「本格」オーディオ機器は売れなくなり、メーカーは「本格」オーディオから撤退していった。
 
一方旧時代にレンタルレコード店は登場し、それはそのままレンタルCD店に移行した。
CDメーカーは一般CD店以外に、それらにもCDを配布するようになった。
実売枚数と売り上げ枚数が一致しなくなったのである。
一説によれば、CDの実売枚数は総売り上げの1/10以下であり、
ほとんどはレンタルショップに流れているのだともいう。
ならばミリオンが続出しながらも、それらの曲が一般に浸透していないのもうなづける。
昔の50万枚売れたEPレコードの曲ならば、「歌え」と言われても大抵の人間が歌えたものだが、
今は200万枚売れたCDの曲でも、歌うことはほとんど不可能である。
先の説が本当であるならば、それは実売20万枚の曲でしかないからだ。
しかもレンタルによって手に入れられた曲は、身銭を切って手に入れた曲とは重みが全然違う。
確かにレンタルは多くの人間に曲を聞かせる機会を与える手段である。
しかしそれでは一過性の価値しか生まないのではないだろうか。
一度曲を聴いて、また次の曲に借り替えるというサイクルの繰り返し。
昔のように、本当に自分が好きな一曲だけを選んで買うという行為と比較すると、
ひとつの曲への思い入れを感じ取ることができないのだ。
ここで音楽は宝物から、消費物へと変化したのではないだろうか。
 
最近ではこれに拍車がかかり、ネット上で無料の(違法)データを拾おうという人間が増えている(らしい)。
CDは売れず、オーディオ機器は売れず、音質の悪いコピーに人々は満足しているのが現状であるという人間もいる。
これは何が原因なのか。誰がこんな状況を作り上げたのか。
追求しても始まらない。しかし、あまりに寂しい状況ではないのだろうか。
一枚のレコードに感じた何か。それはあの時確かにあったのである。
それが今のCDにあるのだろうか。
それを忘れてしまったことが、すべての原因ではないのだろうか。
 
少々凹み気味になりながら、プロジックを後にした私だった。
 
 
最後に、イベントの片づけで忙しい中、社長と無駄話をしてしまい、
プロジックとステラヴォックスジャパンの皆様にはさぞや迷惑をかけたことと思います。
この場を借りてお詫び申し上げます。